「エンディミオン・ポーター卿とファン・テイク」 プラド美術館が所蔵するファン・デイクの
多彩なすばらしい数々の肖像画のなかで、堂々たる本作品はとりわけ威厳に満ちている。
画面には、友人であり、庇護者でもあったイギリスの貴族エンディミオン・ポーター卿を
画家自身の姿をそえて、親しみと敬意をこめて描いている。二人は微妙に向い合い、
ポーター卿は正面から、画家は短縮法で横から描かれ、二人の社会的身分の違いが
強調されると共に、白と黒の対照的な二人の衣裳は見事に仕上げられ、控え目ながらも
きわめて上品な美しさである。ここに、ファン・デイクの腕の確かさと洗練された感性がうかがえ、
すでに自分のすばらしい技量をいかなる方法でも発揮できる画家であったといえよう。